空から映像を撮影したり物資を配送したりなど、私たちの生活に徐々に身近となってきたドローンは、テクノロジーの進化とともにその活用範囲がますます広がっています。
ただ、ドローンの言葉は知っていても、「実際どんなことができるのか」「どのような種類があるのか」など、まだまだわからないことの方が多いかもしれません。
この記事では、ドローンの基本から専門的な内容までをわかりやすく解説します。
【目次】
ドローンの主な種類
ドローンは用途によってさまざまな種類があります。まずは主なドローンの種類をそれぞれの特徴と共に見ていきましょう。
空撮用ドローン
一般的に知られているドローンの一つで、趣味向けのものから業務用までさまざまな用途で活躍しています。
特徴 | ● 高性能カメラを搭載し、4Kや8Kなどの高画質撮影が可能
● ジンバル(手ブレ補正)機能で安定した飛行性能 ● GPS機能で位置を自動で安定 |
得意分野 | 映画やTV番組の撮影、観光地や不動産のプロモーション映像、ウェディングフォトなど |
産業用ドローン
産業分野で業務効率化や人材不足解消などを目的として使用されるドローンです。
特徴 | ● 赤外線カメラやレーザー測量などの高性能センサーを搭載
● 大型バッテリーで長時間の飛行が可能 ● 重い荷物の運搬ができる機種もある |
得意分野 | 土地の3Dマップ制作やインフラ点検、農薬散布や作物の生育チェック、山間部や離島などへの荷物の運搬、災害対応など、人が直接行うと危険な作業や時間のかかる作業を効率的に行える |
競技用ドローン
スピードを競うレース用に特化したドローンです。
特徴 | ● 時速100km以上で飛行できるように設計
● 軽量で高出力なモーターでの素早い動きが可能 ● FPV(First Person View)対応で臨場感がある |
得意分野 | アクロバット飛行、ドローンを使うレースなどのスピード競技分野 |
水中ドローン
水中での調査や撮影など、水の中での作業に特化して使用するドローンです。
特徴 | ● 水中で操作可能なプロペラ搭載で深海撮影が可能
● 長時間使用可能なバッテリーを搭載 |
得意分野 | 海洋調査、ダムや港湾など水中インフラの点検、水産業での活用など、水中での作業に特化 |
トイドローン
小型で軽い、操縦方法を学ぶための入門向けドローンです。
特徴 | ● 手のひらサイズのものが多く操作が簡単
● 初心者向けに自動操縦機能がついている機種もある ● 室内でも安全に飛ばせるサイズで、価格も手頃 |
得意分野 | ドローン初心者や子どもが基本的な操縦方法を学んだり、遊びに使ったりできる |
軍事用ドローン
軍事目的で使用される高性能なドローンです。
特徴 | ● 数時間から数日間飛び続けられる
● 人命を危険にさらさずに敵を攻撃できる ● 一般には販売されていない |
得意分野 | 偵察や監視、戦場での通信支援、場合によっては攻撃能力も備える |
ドローンは用途に合わせて選ぶことで効果的な活用が可能です。
ドローンの形状別の種類
ドローンの形状は、用途や必要な性能によってさまざまな種類があります。ここからは、ドローンの形に焦点をあててその種類を見ていきましょう。
トライコプター
3つのローター(プロペラ)が通常Y字型に配置された小型ドローンです。構造がシンプルで軽量なのと高い機動性が特徴で、自作も可能なドローンです。
バッテリー消費が少なめなため比較的長時間飛行できますが、安定性が低く操作が難しいと感じることがあるかもしれません。
トライコプターは、個人の趣味での空撮や小型配送の試験などに使われます。
クアッドコプター
ドローンといえばこの形をイメージすることが多い、一般的な形状のドローンです。X型、または十字型に配置される4つのローターは、安定性と機動性のバランスの良さが特徴です。
操作性が良く初心者でも扱いやすいのがメリットで、サイズの用途が広いため趣味用から業務用まで幅広く活用できます。
クアッドコプターの使用シーンは空撮用ドローンが多く、他にも点検や測量などにも使われます。
ヘキサコプター
6つのローターが六角形に配置されているドローンです。ローターが多いため飛行の安定性に優れ、パワーもあり重い撮影機材も載せられます。
映画撮影など繊細な映像が必要な空撮や、建設現場の3D制作、インフラ点検などの測量や点検シーン、農薬散布などの分野で活躍します。
オクトコプター
8つのローターつき大型ドローンです。安定性が他のドローンよりも高く、高性能カメラや大型測量機器など重量のある機材を搭載できます。安全性が高く、飛行中に万が一ローターの一部が故障しても飛行可能です。
オクトコプターは大規模な空撮や高精度の測量・点検、ドローン配送、災害対応などのシーンで選ばれます。
固定翼型ドローン
ローターではなく、航空機のような翼を持ったドローンです。長時間を高速で飛行でき、広範囲の撮影や調査に向いています。飛行ルートを設定して自動飛行も可能です。
ただし、垂直離着陸ができないため、滑走路や専用設備が必要になることから使用場所が限られます。
固定翼型ドローンは、広範囲の測量や地図の作成、広い農地の監視、軍事、災害対応など広く活躍します。
ドローンはその形によって使用シーンが変わるため、目的に応じたドローンを選ぶことが大切です。
ドローンの機能の種類
ドローンにはさまざまな機能があり、それぞれの目的に応じて活用されています。ここでは、代表的な5つの機能を解説します。
カメラ機能
4K/8K対応の動画撮影、ズームや赤外線、ジンバル(手ブレ補正)など、高度な撮影機能を持つものが増えています。
映画・CM・YouTube撮影や、不動産や観光PR、点検・測量などプロの撮影現場でも活用されています。カメラ機能は空撮用ドローンには必須で、プロ向けと初心者向けのモデルがあります。
GPS機能
ドローンが自分の位置を正確に把握できる機能です。GPS情報を利用してホバリング(空中で静止)やバッテリーが少なくなると自動帰還する機能などもあります。
初心者の安定飛行や、遠くまで飛ばしてもドローンが迷子にならないように、あると便利な機能です。
FPV機能
ドローンに搭載されたカメラからの映像が専用ゴーグルやスマホなどにリアルタイムに表示され、その映像を見ながら操縦できます。
パイロット目線でドローンを飛ばせるため臨場感や没入感のある操縦が可能で、競技用によく使用されます。また、狭い場所や人では見づらいエリアを確認するのにも便利です。
追従機能
人や車など、特定の対象物を自動で追いかけて撮影できる機能です。撮影中は操縦しなくても動く対象を追尾できます。また、障害物を避けながら追跡するモデルもあります。
サイクリングやスキーなどのスポーツの撮影や、VlogやYouTube動画にも使えます。
衝突防止機能
ドローンについたセンサーが障害物を検知し、自動で回避または停止する機能です。センサーはドローンの一部についているものや、全方向についているモデルもあります。
初心者のドローン練習や、空撮・業務で木や建物の間を飛ばすときに安心な機能です。
ドローンの操作方法の種類
ここでは、ドローンの操作方法の種類を2つ解説します。
ラジコン型
専用のコントローラーを使って人が手動で操縦するタイプのドローンです。基本的な操作方法を覚えれば、自由度が高く思いどおりの飛行が楽しめます。
カメラ付きドローンなら映像を確認しながら飛ばすことも可能です。趣味でドローンを使う場合や、好きなアングルでの空撮、ドローンレースなどのシーンに向いています。
自立飛行型
自立飛行型とは自動操縦のことです。GPSやセンサーを使って、プログラムされたルートに沿って自動で飛ばして目的地の撮影や点検などを行います。
人が操作しなくても飛べるため、測量や点検作業などの業務用途で広く活用されています。
ドローンの国家資格の種類
ドローンの操縦に際しては国家資格が取得できます。資格がなくてもドローンの操縦は可能ですが、レベルの高いドローン飛行や業務で使用する場合は国家資格が必要となる場合があります。
ドローンの国家資格「無人航空機操縦者技能証明」は一等、二等の2種類があり、学科と実技を受験し合格すれば資格取得可能です。
国家資格を所持しているとドローンを飛ばせる範囲が広がり、ドローンパイロットとして仕事を考えている場合に有利でしょう。
資格についてはこちらの記事も参考にご覧ください
国家資格などについても詳しく解説しています。
ドローンの主要メーカーの種類
世界にはさまざまなドローンメーカーがありますが、その中でも特に有名な 「DJI」「Parrot」「Autel Robotics」 の3社について、特徴を解説します。
DJI
DJI(ディージェイアイ)は、中国発の世界最大のドローンメーカーで、世界のドローン市場の約7割のシェアを占めています。2006年の設立以来使いやすさを追求し開発されたドローンは、初心者から専門家まで幅広いユーザーに支持されています。
DJIのドローンは特に空撮性能に定評があり、手ブレ補正技術や自動追尾機能などの機能を搭載しています。自動追尾機能は2種類あり、ドローン本体とモバイル端末の間の通信を可能にするフォロー三―機能、被写体をドローン本体に追尾対象なことを認識させて撮影するビジョンポジショニング機能があります。
また、DJIドローンは農業用ドローンにおいても圧倒的なシェアを誇ります。
Parrot
Parrot(パロット)はフランスを代表するドローンメーカーで、1994年の設立当初はワイヤレス音響機器やハンズフリー製品などの開発からスタートしました。
Parrotのドローン市場は、航空宇宙や軍事などの設計の流れを汲んだ独自のデザインで知られています。また、自動姿勢制御による高い安定性や、スマホへのリアルタイム映像伝送などが可能な機種もあります。固定翼を採用しているドローンもあり、長時間の連続飛行を実現させています。
2019年にミニドローンから撤退した後は商用ドローン開発にシフトし、軍用向けの偵察ドローンや、災害調査、海洋汚染の取り組みなどに使用されており高い評価を得ています。
Autel Robotics
Autel Robotics(オーテル・ロボティクス)は2014年に設立された比較的新しいドローンメーカーですが、高品質な製品と革新的な技術で成長を続けており、マーケットシェアは6位です。
本社は米国ワシントン州にあり、DJIの強力な競合として注目を集めています。特に、優れた耐候性と高性能なカメラシステムが特徴で、折りたたみドローンの「EVO II」シリーズは空撮にドローンを使用する人から支持されています。
また、一般的なドローンではスマートフォンなどの外部デバイスを必要としますが、Autel Roboticsのドローンは必要としません。
外部デバイスにアプリを入れることで生じる可能性がある個人情報や飛行履歴のリスクを低減できる高いセキュリティ性は同社の強みの一つです。
世界シェアは少ないものの日本にもドローンメーカーがあります。代表的な日本メーカーを見ていきましょう。
- ACSL:日本で初めて補助なしでのドローンの目視外飛行を実現させたメーカーです。産業用ドローンに特化しており、大手の物流メーカーとの実証実験を数多く実施していることでも知られています。
- SkyDrive:建築資材や農作物を運ぶような、物流・運輸用の大型ドローンを開発・製造しているメーカーです。国内のさまざまな企業と共に、「空飛ぶクルマ」の開発に取り組んでいることでも注目されています。
世界や国内のドローンメーカーはそれぞれ独自の特徴を持っています。形や大きさ、価格帯もさまざまなため、用途や目的に応じたものを選ぶようにしましょう。
まとめ
ドローンを選ぶ際は、使用目的や用途を考えることが大切です。趣味に使うのか、ビジネスとしての活用を考えているのかなど、用途に応じた専門性のあるドローンを選ぶようにしましょう。
そして、どのようなドローンを選ぶにしても正しい知識と技術を学ぶことが大切です。特にビジネスでのドローン活用を考えている方は、専門学校などでドローンについての理解を深めることも検討するとよいでしょう。
ドローンの世界は日々進化を続けており、その活用範囲はますます広がっています。用途に合わせて最適なドローンを選び、正しい知識と技術を身につけることで、趣味でもビジネスでも
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