今、世界が注目!
障がい者アスリートを支える
医療の仕事「義肢装具士」とは。
ものづくりの側面を持ちながら、使用者に触れサポートするリハビリテーション医療の一員――それが義肢装具士です。義肢装具をつくるだけでなく、使用者に会って装着のフィッティングを行います。義肢装具が使用者の身体に適合するよう、ていねいに調整を重ねるところまでが仕事です。
※大手の製作所では、上記の「組み立て」「仕上げ」作業と、それ以外の作業とに分業することが多い。
大きなケガや病気で手足を失った人にとって、義肢装具は大きな希望です。近年では、海外被災地でのNGO活動、また障がいを持つ人のスポーツやレクリエーションが活発になっています。専門知識を備えた優秀な義肢装具士がますます求められるようになり、活躍の場もどんどん広がっていくことでしょう。
使用者の患部に触れて義肢装具の型を採ったり、装着の具合を診断・調整したりすることは、資格を持つ義肢装具士だけができる医療行為です。したがって、義肢装具士になるには国家試験合格が必要です。試験は毎年春に1回、東京都の1試験場でのみ実施されます。
義肢装具士のほとんどは、民間の製作施設に所属しています。主に作業場で装具の設計・組み立てをしますが、医療機関に出向いて使用者から型を採ったり、装具利用開始後のアフターケアを行ったりもします。障がい者スポーツ、海外被災地への義肢装具提供、新しい技術者の育成など、経験や実績によって活躍の分野も広がります。
勤務体系 | 160時間/月 |
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収入 | 初年度:年収350万円程度 |
平均年齢 | 35〜40歳 |
男女比 | 8(男性):2(女性) |
近年、障がい者アスリートの活躍が注目されるようになってきました。じつは日本人選手団の一員として義肢装具士が海外に帯同する機会も増えています。3年後に東京で開かれる障がい者五輪では、やや認知度の低い義肢装具士という職種が、きっと大きな話題になるはずです。
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TOKYO2020 パラリンピックでも義肢装具士が活躍!
義肢装具士の第一人者 臼井二美男さん(鉄道弘済会サポートセンター)に聞いた、義肢装具士の魅力とは?
この製作所での私の仕事は、主にプラスチック製の短下肢装具をつくることです。短下肢装具は、ヒザ下の筋力や機能を補うために装着するもので、病気やケガで脚の衰えた人を助けます。製作所のスタッフが患者さんから採ってきた型をもとに素材を加工して装具にしていくのが、一日の大半の作業です。
当然ながら、患者さん一人ひとりにオーダーメイド。オーダーや一点ものといえば、ふつうは贅沢品ですが、義肢や装具は、なくてはならない必需品です。そこに義肢装具士の仕事の意義を感じます。身につけて長く使うものですから、その人らしい装具にしてもらおうと、素材や色のこだわりを聞いてカスタマイズすることもよくあるんですよ。
出身の工業高校では建築を勉強していましたが、バリアフリー住宅について学ぶうちに、義肢装具士という職種を知りました。ものづくりと福祉との接点にある仕事で、これは自分に向いていると思いました。大学よりも専門学校を選んだのは、少しでも早く世の中で自分の技能を発揮できるから。義肢装具士も現場で経験値を高めていくことが大切です。その基礎となる知識や技能は、専門学校でしっかり学べたと思います。
働き始めてまだ年数の浅いうちに、小児用の短下肢装具を何度も何度も作り直したことがありました。やっと完成した装具を、使用者に喜んでもらい、病院のスタッフにほめてもらった時に「やはり、この職業を選んでよかった」と感じました。装具の製作では大なり小なり課題にぶつかることがありますが、そんな感激を忘れずに、日々の仕事に取り組みたいと思います。
この業界でも将来、ITやAIによって仕事のやり方や求められる能力が変わっていくかもしれません。それでも人間ならではの技能、自分ならではのワザで、使用者に満足してもらえる義肢装具士でありたいですね。
あなたはなぜハイテクへ?
高校生必見!
高3の頃、海外で活躍する義肢装具士をテレビで見て、私も同じ職業で、困った人を助けたいと思いました。進学先に大学よりもハイテクを選んだのは、充実した実践的な授業に魅力を感じたからです。先生方も学生も明るく、アットホームな雰囲気で、この選択は正解でした。自分が製作した義肢や装具で早く人の役に立てるよう、国家試験合格はもちろん、ハイテクも首席で卒業するくらいに、たっぷりと学んでおきたいです。
学校まで徒歩3分の恵庭ハイムという男子寮で暮らしているので朝はゆっくり準備をして登校します!
座学では、学科の先生だけではなく外部からの先生にも解剖・生理・工学・義肢装具の専門知識などを学んでいます。
お昼はクラスメイトと楽しくランチ!
天気が良い日には外でキャッチボールをしてリフレッシュしています!
実習では実際に義肢・装具を製作。先生のお手本をよく見て聞いて、手順や注意点などメモを取るよう心がけています。
帰宅後は友達と遊んだり一緒に勉強をしています!夜は癒される動物の動画を見て23:00頃には就寝!
義肢装具士は数ある医療・福祉にかかわる専門職種のうち、製作したものを「形」として残すことができる貴重な職業です。 同時にそれによって、生活が改善できたり、楽しみが増えたりと「形」に残らないものも提供することができます。 責任は大きいですが、やりがいを同時に感じる仕事です。 年数が経つ程にわからない事がわかるようになり、同時に、もっとわからないことも出てくる奥が深い分野です。
義肢装具士の仕事内容や求められる能力等が解説されています。
詳細はこちら ▶ https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/176
(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET))